修理業界における真の商売敵とは?

靴修理に限らず他の業界でもそうですが、
商売には同業者との関係は必ずついてまいります。

今日は靴修理業界における同業者と真のライバルについてお話します。

その前に、まずは今日の修理から

Vibram4014オールソール

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今回使用した靴底ソール素材(vibram#4014)

この素材はクッション性も良く、履きやすいソールです。

同業者と真のライバルについて

修理業界では自分が出来ること、
得意な事がそれぞれ違いますので、

地元の同業者同士お客様の要望を叶えるために
お互い支え合うのが理想だと考えています。

昔は同業者はライバルだとか
商売敵だとか考えられていましたが、
今は時代が変わりました。

ライバルの定義を変えて、いま目を向けなければならない
真のライバルは別にいると思っています。

真のライバルとは?

前に書いた記事で

人は「高価な靴」よりも「思い出のある靴」を直したいと考えている

という記事を書いたことがあります。

人は時間を一緒に過ごしてきた物に愛着がわき、それを大切にしようとします。

値段の高い安いではなく、過ごしてきた時間が長い物を大切にします

ですが、現在では人々の自由時間の大半は
パソコンやスマホ、TVなど家の中でそれも個人で消費できるような
娯楽(形のない情報)に取られています。

モノよりも情報が価値のある世の中になってきています

物を消費する時代から娯楽情報を消費する時代に移り変わってきた

一昔前までは、良い物の所有することが一種のステータスでした。
車、家、自分の愛用の小物…いわゆる物の所有欲を
段階的に満たしていくのが成長とされていました。

しかし、現代では物は十分に供給され
生活スタイルや価値観も多様化してきています。

自分の愛用のモノに知識とお金をかけるよりも
娯楽やアイドルなど社会のストレスを緩和するものにお金と時間をかけるようになりました。

靴に限らず、一つのモノを長く愛用することは、人生を豊かにする

今の時代では「形のない物」時間とお金を使うことが流行っています。

スマホのアプリゲームに毎月何万円も使う人や
贔屓にしているアイドルに10万、100万と使う人

そういう人たちに対して、
どうすれば靴の大切さに気付いてくれるのかを常に考えています

自分に合う靴を履けば生活が充実するだけではなく
高齢になった時の身体の健康にも非常にいいです。

足は第2の心臓とも言われていることは、ほとんどの人が知っていることです。

スポーツ選手の寿命はまず足腰から来ます。

高齢になった時に寝たきりになるか
外で元気に歩けるかの健康寿命は足の筋力
密接に関係していることが今の医学で分かってきています。

自分や家族のために、一人でも多く人に自分の靴と向き合ってほしい

  • 靴の大切さをまだ気づいていない人
  • 自分に合う1つのモノを長く愛用することをダサいと感じる社会

この二つが私が考えるリペア業界が立ち向かう真のライバルではないかと思います。

靴を永く愛用するの魅力がもっと人々に伝われば、
修理業界はもっと発展するのではないかと考えています

むやみに紹介して他店にお客さんを取られないのか?

この質問に対しては、ラーメン屋に例えてお話しすると分かりやすいと思います。

我々修理店や工房では、得意分野や専門が違うので
ラーメン店で言うと

例えば当店が醤油ラーメン専門店、
近所のB店は豚骨ラーメン専門店、
C店はラーメンの種類が多いラーメン総合店、
D店は雰囲気がオシャレで女性も気軽に入れるラーメン店だったりします。

当店に来た美味い豚骨ラーメンが食べたい人をB店に紹介すれば
B店から美味い醤油ラーメンが食べたい人を紹介してもらえるかもしれません。

数多く食べたい人をC店に、デートなどで斬新なラーメンを食べたい人をD店に紹介すれば
C店やD店からも本格的な醬油ラーメンが食べたい人を紹介してもらえます。

一番困るのは、
「ここら辺のラーメンはまずいから、お好み焼きか焼き鳥食いに行こうぜ!」
と言って各店が得意とする一押しラーメンの魅力が伝わらずにお客さんが離れてしまうことです。

お客様の「たかが修理」の認識をいかに「感動」に上書きするか

当店でも自分が出来ない修理内容や
多店舗の方が上手くできそうな修理内容だと判断すると
迷わず知り合いの同業者や他の店を紹介しております。

長い目で見れば、個人の力には限界があり
自分一人で無理してお客様を囲い込まず、

お客様のご要望に合ったタイプお店を紹介するのが、
お客様にもそして回りまわって自分のお店にとっても良いことです。

修理店を信頼してもらい身近に感じてもらうにはこれが一番だと信じています